2022年9月8日にエリザベス女王が亡くなられました。エリザベス女王は70年間という長い期間、イギリスを支え続けた偉大な国王です。しかしエリザベス女王が一体どんな方なのか知らない方も多いのではないでしょうか?
そんな方にお勧めしたい作品が、映画『クイーン』です。
今回は『クイーン』について紹介していきたいと思います。
『クイーン』作品情報
- 原題:The Queen
- 日本公開:2007年4月14日
- 上映時間:104分
- 監督:スティーブン・フリアーズ
- 脚本:ピーター・モーガン
- 配給:エイベックス・エンタテイメント
『クイーン』あらすじ
本作『クイーン』は、1997年8月31日に交通事故で急逝したダイアナ元妃をめぐって、揺れ動くイギリス王室の内情を描いた作品です。
王室の伝統を死守しようとするエリザベス2世でしたが、1997年5月、憲法や伝統の大改革をマニフェストに掲げた労働党党首トニー・ブレアが首相に任命されました。
そして1997年8月31日未明、ダイアナ元皇太子妃がパリにて交通事故で亡くなりました。しかし、元皇太子妃であるにもかかわらず、エリザベス女王と英国王室は、家族の私的な出来事であるとして、一切声明を発表しませんでした。
国民は追悼の思いを強くしていき、ブレアはその死を悼む演説をし、国民の心をつかみます。国民が熱狂する中、エリザベス女王はブレアと共に、伝統遵守と現実の間で対応を模索していきます。
『クイーン』の登場人物とキャスト
『クイーン』を見る前に、登場人物やキャストについて知っておくと、より深く共感できること間違いなしです。そこで登場人物やキャストについて紹介していきたいと思います。
エリザベス2世:ヘレン・ミレン
イギリスの国王で、国民から信頼される王室であり続けるために、伝統と格式を重んじています。
トニー・ブレア:マイケル・シーン
第73代イギリス首相。イギリス王室の昔ながらの気質の変化を求めて、エリザベス女王と対話していきます。
エディンバラ公フィリップ:ジェームズ・クロムウェル
エリザベス2世の夫で、ダイアナの死に対して頑なな態度をとる印象的な人物です。
シェリー・ブレア:ヘレン・マックロリー
ブレア首相の妻で、有識者リベラル階層の1人です。女王に対して不快な態度をとるなど、王室に対しての嫌悪感を露にしています。
チャールズ皇太子:アレックス・ジェニングス
イギリスの皇太子で、女王の第1子です。ダイアナの元夫でもあり、王室の態度に疑問を感じています。
エリザベス王太后:シルヴィア・シムズ
エリザベス2世の母で、前国王ジョージ6世の王妃です。王室内における保守派で、世論に屈しないようエリザベス2世に忠告しました。
『クイーン』について
本作『クイーン』は、第63回ヴェネツィア国際映画祭に出品され、女優賞と脚本賞を受賞しました。特に、エリザベス2世を演じたヘレン・ミレンは高い評価を受け、第79回アカデミー賞では主演女優賞を受賞しました。受賞の際には、エリザベス女王とブレア首相から祝福を受け、話題になりました。
また作品賞、脚本賞、監督賞、衣装デザイン賞、作曲賞にもノミネートされるなど、熱狂的な支持を受けました。
『クイーン』のレビュー(ネタバレあり)
本作『クイーン』は、ダイアナ妃の事故死から1週間を主に描いています。エリザベス女王は若い頃に、エドワード8世の起こした混乱で、父・ジョージ6世が奔走する様を見ており、そうした経験から情勢や国民の意見に流されることなく、冷静に対応していきます。常に自分のことより、国民のことを考え行動する女王の姿から、国王としての強さと威厳を感じました。
またヘレン・ミレンの演技も印象的です。思い悩む女王は、1人でジープを運転し、深い森に入っていき、そこで鹿に遭遇します。その鹿の凛と佇む姿に自分を重ね合わせ涙するシーンが感動的でした。ヘレン・ミレンは、2006年には『エリザベス1世~愛と陰謀の王宮~』でエリザベス1世を演じており、王室に対する深い理解を感じます。
本作では、実際の映像を引用するなど、イギリス王室の内情を細かく描いており、まるで歴史の1ページを実際に体験しているような気分になります。
まとめ
今回は、映画『クイーン』について紹介していきました。本作を観ることで、より深くエリザベス女王の追悼に想いを巡らしてみるのもいいのではないでしょうか。